塩酸プロカルバジンと食品
プロカルバジンは血液脳関門を突破することができる抗悪性腫瘍剤なので、脳腫瘍や悪性リンパ腫に用いられる薬剤です。食品との相互作用があることも知られています。
〇飲酒禁忌
添付文書では、アルコールが禁忌とされています。ジスルフィラム様作用により、アルコールに対する耐性が低下していまう可能性があります。アルコールに弱くなってしまうので、顔が赤くなりやすかったり、悪酔いしやすくなったりすることが考えられます。起こしうる薬剤として、プロカルバジンの他にセフメタゾールやメトロニダゾールが有名ですね。また、ジスルフィラムの商品名にちなみ、アンタビュース反応としても知られています。
〇チラミン含有食品
日本の添付文書には記載はありません。米国の添付文書には記載があります[MATULANE package insert]。MAO阻害作用による相互作用で血圧上昇や頭痛、動悸、嘔気等が懸念されます。プロカルバジン投与終了後2週間は注意しなければなりません。
各情報サイトに記載されている控える食品についてまとめてみました。※一部を抜粋。
①MATULANE添付文書
ワイン、ヨーグルト、チーズ、バナナ
②UP TO DATE
チーズ、ソーセージ、サラミ、ソラマメ、醤油等
③DynaMed
発酵食品、アンチョビ、キャビア、レバー、レーズン、バナナ、チョコレート、アボカド
④MicroMedex
アボカド[Severity:Major]、ビターオレンジ[Severity:Major]、チラミン含有食品[Severity:Moderate]
⑤今日の診療プレミアムWEB
チーズ、ヨーグルト、バナナ、ソーセージ、燻製品など
ワインはアルコールを含むので、禁忌ですね。
チーズ、ヨーグルト、バナナ、ソーセージ、アボカドは共通していますね。また、アボカドに関してはMicroMedexでSeverity:Majorになっているので、特に注意したほうがいいかもしれません。また、血圧などのモニタリングも重要です。
ただし、古い資料ではありますが、プロカルバジン投与時の食事制限は臨床上重要ではない[Cancer Nurs. 1980 Dec;3(6):451-7.]との報告もあります。こちらの文献に関しては全文を確認できていないので、内容の詳細は不明です。
患者指導の際には、化学療法の副作用の他に、食品との相互作用も指導してみてはいかがでしょうか。